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- altérité : sensibilia v
- 風がときつぐこと
- exhibition : performance
- – PARADA CLOSING PROGRAM –
- café & galería PARADA
- Tue. 16. – Sun. 28. Aug 2016
2006年、PARADAのオープニング・イベントは「altérité : sensibilia」でした。そして今回、「altérité : sensibilia」で締めくくります。移ろう季節の中で、いつでも変わらずそこにあるものと、日々、少しずつ変化してゆくものがあります。彼らのすばらしい作品の中で、10年という時間、そして、「これから」を想う2週間にしたいと思います。
- -浅野信二 | Shinji ASANO- -菅野まり子 | Mariko SUGANO-
- -田中章滋 | Shoji TANAKA- -羽田野麻吏 | Mari HATANO-
- 2016年8月16日(火) – 8月28日(日) | Tue. 16. – Sun. 28. Aug 2016
- 火 – 土 Tue – Sat | 11:30 – 22:00 ・日 sun | 11:30 – 20:00
- 8月27日(土)Sat. 27.Aug| 11:30 – 15:00
- 月曜定休 closed on Monday
- – 狩野志歩 | Shiho KANO – projection
- -アンサンブル イノウディブル| Ensemble INAUDIBLE- improvisation
- – 加藤雅也 | Masaya KATO – keyboard, etc.
- – 山崎慎一郎 | Shinichiro YAMAZAKI – guitar, etc,
- – 渡邊ゆりひと | Yurihito WATANABE – chant, direction,
- 2016年8月27日(土) Sat. 27. Aug,. 2016
- 会場 open 18:30 開演 start 19:00
- ¥2,000 + 1drink | 要予約 prior booking essential
- ご予約は Tel : Mail : にて
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*お席に限りがございます。満席となり次第受付を終了させていただきます。
Closing Party
- 最終日8月28日17:00より、
- 参加アーティスト出席で、クロージング・パーティーを催します。
- 何方でもご参加戴けますので、皆さま、お誘い合わせの上、是非お運び下さい。
- *ドリンクオーダーをお願い致します。
altérité : sensibilia v – 風がときつぐこと –
exhibition : performance
– PARADA CLOSING PROGRAM –
- 覚書 - PARADA、 altérité : sensibilia・・・
夏の終わりの、夕暮れにはまだ早い余白のような時刻 ── レンガ色のテントに翳ったオープンカフェの小さなテラス:シマトネリコの若木や小さなラウンドバーテーブルに2脚のバースツール、バス通りの通行人に向けられたメニュー黒板。そして背高のガラスを嵌めた黒い木製の折り畳み窓と、大ガラスにエッチングされこのカフェのシンボルマークが迎えてくれるその揃いの扉の、ブラスのハンドルを引く・・・
スケルトンの白い天井:入口のシャンデリア、テーブルや通路に黄色い灯りを落とすインダストリアルランプ。漆喰の白い壁一面をスチールフレームのブックシェルフが被って、斜に切られたバーカウンターが控える。相対する壁の深い紫がより印象的に昼夜の言葉を分け持ち、インダストリアルをミックスしたインテリアの所為か、カフェスペースは何故か懐かしいようなドイツ70年代の匂いがした。そしてそのカフェの奥へと誘う窓外の光をそのまゝ口に含んだような、古いアパートメントの一室をアトリエに改装したかの、壁、天井、窓枠までも白く塗装された小さなギャラリースペースの心地よさ ── PARADAを初めて訪ねたのは、店がオープンしてからひと月足らず経たころのこと。
それを遡る夏の初め。SNSを利用して、近しいアーティスト数人で始めたハングアウト。たゞそれぞれの興味を交換、接続、或いは、それらを忘れ去るだけの場としてのclub Paranoia(後の club deux:point)が、それから秋の初めになって、俄に活気づくことになる。
altérité : sensibilia – 手のなかの他處 – performance : exhibitionは、PARADAとclub deux:pointの、ふたつの場が繋がり2006年11月に Galeria PARADAのオープニングイヴェントとして実現した。プログラムは、狩野志歩映像作品のプロジェクションに伴ってEnsemble Inaudible(多井智紀:cello、山崎慎一郎:guitar、渡邊ゆりひと:chant)が即興演奏を折り開いたパフォーマンス。そして、浅野信二:オブジェ、ドローイング;狩野志歩:写真;菅野まり子:アクリルペインティング;田中章滋:古典技法ペインティング、オブジェ、ジクレ;羽田野麻吏:活字オブジェ;と、多様な地点から集まった作品で展開されたエキシビジョン。また参加作家によるアーティストブックdeux:point-Iを限定上梓した。
おそらくはPARADAというプレーンな場がなければ、生まれなかった(或いは、発生し得なかった)altérité : sensibilia (他性 : 感覚し得るもの)。それは作品と場の日常的で、非日常的な経験を繋ぐ ” : (コロン)” として、カフェの存在様式を模倣すること(*altérité : sensibilia – 手のなかの他處 – 覚書参照)。私たちが取り組んだのは、作品を解き明かすこと。そのための装置として、それぞれが主題を分け持ちPARADAのギャラリー空間にバランスすること、あるいは総合すること。しかし記憶と同じように、期待は断片的で、たまゆらの出来事を持続可能性へと補間するのは作品や場ではなく、常に「他者:或いは一客人」が移送してくれる「感覚し得るもの」だったように想う。しかしまた作品自体もカフェの一客人として振る舞うこともあった。例えば狩野志歩作品に於いては、PARADA(バス停留所)という、その店の名前を象徴するように、PARADAのギャラリーで撮影され、そして作品として美術館へ移送され、またそれは、仕種を変えてPARADAへと戻ってきたのだった。
altérité : sensibiliaは、club deux:point のクラブ展として、PARADA初期三年間の秋を反復。2009年晩春にクラブの活動を休止。
その後、2009年以降2011年を除き、年に一度は、club deux:point から接続されたそれぞれのアーティストが断続的にPARADA空間と関わってきた。
6月、PARADAオーナー兄妹ふたりから聞かされたのは、次のステップのために、この10年というくぎりをもってPARADAを夏の終わりに閉じるということ。そして来たるべき事共へと及びながら、ふたりはギャラリーオープニングのときと同じように、クロージングの機会を私たちに託してくれた。PARADA10年間のなかで、altérité : sensibiliaは、些か抽象的で、ごく小さな出来事であったにも拘わらず・・・
altérité : sensibiliaとして第5回目、PARADA クロージングのためのこの会に、第1回目のメンバーが再び集うことができた。そこに – 風がときつぐこと – と、ことばを添えた。ここには、” : (コロン)” から始まったPARADAと私たちそれぞれの作家の去来とその出来事を想い置いた。そしてPARADAは場所であることを閉じる。けれどもそれは、私たちの記憶のなかで何時しか内的な「他性」へと変貌し元型的な経験であるかのように、私たちはその魅惑を「とき」あかしつゝ、「感覚し得るもの」としての作品の内部へと「つぐこと」になるだろう。
altérité : sensibilia v – 風がときつぐこと - エキシビジョンは、浅野信二、菅野まり子、田中章滋、羽田野麻吏の4作家による、ペインティング、ドローイング、オブジェクトなどの新旧作品を交えた展示。パフォーマンスは、狩野志歩映像作品のプロジェクションから始まり、 Ensemble INAUDIBLE(加藤雅也、山崎慎一郎、渡邊ゆりひと)による即興演奏を展開する。
PARADA最後の、この機会を是非とも、ご高覧戴きたい。
exhibition – painting:drawing:object –
- 2016年8月16日(火) – 8月28日(日) | Tue. 16. -Sun. 28. Aug2016
- 火 – 土 Tue – Sat | 11:30 – 22:00 ・日 sun | 11:30 – 20:00
- 8月27日(土)Sat. 27. Aug | 11:30 – 15:00
- 月曜定休 closed on Monday
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- +出品作品を含む参考作品+
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- – 浅野信二 | Shinji ASANO –
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- – 菅野まり子 | Mariko SUGANO –
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- – 田中章滋 | Shoji TANAKA –
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performance – projection ~ improvisation –
- 2016年8月27日(土) Sat. 27. Aug 2016
- 会場 open 18:30 開演 start 19:00
- ¥2,000 + 1drink | 要予約 prior booking essential
- ご予約は Tel : Mail : にて
- お席に限りがございます。満席となり次第受付を終了させていただきます。
- – 狩野志歩 | Shiho KANO – projection
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- -アンサンブル イノウディブル| Ensemble INAUDIBLE- improvisation
- – |加藤雅也 | Masaya KATO – keyboard, etc.
- – |山崎慎一郎 | Shinichiro YAMAZAKI – guitar, etc,
- – 渡邊ゆりひと | Yurihito WATANABE – chant, direction,
club deux:point アーティストプロフィール
Shinji ASANO | 浅野信二 | official site | |
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- 略歴:画家
- 1966年生まれ
- 1991年多摩美術大学卒
- 1995年青木画廊にて初個展
- その後個展、グループ展を通じ、主に日本やフランス等で作品を発表
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- 制作:
- テンペラや油彩、古典技法などを習得した後、マティエールへの拘りから現在はすべて自家製の油絵具にて制作を行っている。
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- アーティストステートメント:
- いつでも、そしてはるかに、喪われた物は遺された物を上回る。
- これからもそうあり続けるだろう。
- ならば今新たに私が、一枚の絵をそこに加えたところで何の問題があろう。
- それが喪われるにせよ、遺されるにせよ。
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Mariko SUGANO | 菅野まり子 | official site
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- 東京生まれ。多摩美術大学大学院修士課程修了。
- 2001年文化庁在外研修員としてドイツ・デュッセルドルフに滞在。
- 現在、絵画制作を中心に、内外の個展およびグループ展等で作品を発表。
- PARADAでは、2009年と2012年に個展を開催。また、club deux pointsによるアルテリテ:センシビリア展に毎回参加。他に、2010年『PARADA書店』、2013年『SPRIGON展』、2015年『LAST NOTE展』に出品。
- アクリル彩や油彩で描画されたモチーフと漆黒の顔料を使った背景によって、何時(いつ)とも何処(どこ)ともいえない情景を描く。画面には特定の物語が表現されているのではなく、時代に滅ぼされることなく残存した古今東西のイメージ群が、風のように去来し現在と出会する神秘的な場を描き続ける。
Shoji TANAKA | 田中章滋 | official site
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- 経歴
- 1957年富山市に生まれる。
- 1977年パリ留学。ソルボンヌ大学通年講座を経てエコール・ド・ルーブル(美術館学/中退)。
- 1980年帰国。
- 1991年からシュルレアリスム継承活動である完全視野協会(ガンツフェルド・ゲマインシャフト)を展開。
- 実験演劇の舞台美術を行うと共に数多の展覧会自主企画を行う。
- 2006年日本初の幻想芸術団体International Fantastic Art Association(略称IFAA/アイファ)設立(現・代表職)。
- 制作会社 Gradiva.incを立ち上げ、2009年以降日仏幻想画家とで毎年グループ展を開催(継続中)。
- 独仏職業画家団体 PRO-ARTE-IMAGINIS(略称PAIR/ペール)会員
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http://www.pro-arte-imaginis.org/spip.php?page=trombino-auteurs
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- 2011 『二つの世界の扉』アトリエZ(プジョー文化センター /パリ)
- 2012~毎年 『幻想芸術展』(東京交通会館2Fギャラリー(有楽町/東京)
- 『シメリア・フェスティヴァル』名誉招待(ヴィエンナーレ/スダン)
- 2013 『秘密の現実』(フランス財務省文化センター/パリ)
- 2014 『秘密の現実』(フランス財務省文化センター/パリ)
- 『五月の回廊展』(ギャラリーベルンアート/大阪)
- 2015 『田中章滋個展』(ギャラリー・エティエンヌ・ド・コザン/パリ)
- 2016 『メタモルフォーズ』(ヴィエンナーレ/アミアン)
- その他多数。
Mari HATANO | 羽田野麻吏 | official site | frgm site
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- 略歴
- 1966年 北海道生まれ
- 1991年 武蔵野美術大学造形学部大学院卒業
- 設計事務所にて博物館・美術館等の展示企画設計を行う
- 1995年 「栃折 久美子ルリユール工房」エコルプログラムにて製本工芸を学ぶ
- 2003年 アトリエ・コリルスとし注文制作、製本教室を始める
- 2012年 製本家と箔押し師の4人によるユニットLes fragments de M としての展示・ワークショップ・注文制作も始める
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- 展覧会歴:
- 1997 「現代日本のルリユール展」 東京 三木記念館
- 1998 「Maestri Rilegatori per l’infinito」 マチェラータ イタリア
- 1999 「Forum International de la Reliure d’Art」 ベネチア イタリア
- 2000 工芸製本・カリグラフィー国際展 「Scripta Manent II」 Golden Book 受賞 タリン エストニア
- 2001 製本工芸二人展 「シルヴェストル・ボナールの書棚」 東京 オムニクギャラリー
- 2002 「Forum International de la Reliure d’Art」 アテネ ギリシャ
- 2004 個展 「le greal 」 東京 書肆啓裕堂
- 2005 「Forum International de la Reliure d’Art」 リモージュ フランス
- 2005 「Competition Pointe de Paris」 42冊に選出 Librairie Auguste Blaizot パリ フランス
- 2006 「DOUBLE BUSH BINDING」 シドニー・東京・ランス巡回展
- 2006 個展 「le greal II」 東京 書肆啓裕堂
- 2007 「Forum International de la Reliure d’Art」 フリブール スイス
- 2008 個展 「dix mésangettes 10篇の詩のための秘匿箱」 東京 青山
- 2010 個展 「le greal III」 東京 書肆啓裕堂
- 2016 個展 「サトゥルヌスの書物」 東京 LIBRAIRIE 6
- 2016 「本の美術:ルリユールへの誘い」 和歌山県立近代美術館
Shiho KANO| 狩野志歩 | official site
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- 1974年生まれ。1997年武蔵野美術大学映像学科卒業。
- オーバーハウゼン国際短編映画祭、ロッテルダム国際映画祭などで招待上映のほか、「イマジネーション 視覚と知覚を超える旅」(2008、東京都写真美術館)、「Sense of Reality―僕らの世界のつくり方―」(2010、市原市水と彫刻の丘)などでビデオ・インスタレーションを発表。コラボレーション・ビデオ「松本俊夫の蟷螂の斧」(2009~2012)に参加。
- 武蔵野美術大学「パリ賞」受賞、および文化庁新進芸術家海外留学制度にてパリ国際芸術都市に滞在(2005~2006年)。
Ensemble INAUDIBLE|アンサンブル イノウディブル
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- 2000年、方波見智子(mar)、山崎慎一郎(gui)、渡邊ゆりひと(chant, laptop, dir)の3人をコアメンバーに始まったプロットに基づいたインプロヴィゼーションを組み上げるアンサンブルユニット。2001年ヒルサイドテラスAnnex-Aでは、スズキケンタロー(cb)、春麻(na)が加わり、フェルナンド・ペソアの「不穏の書」をマテリアルに即興的モノオペラを上演。その後は何れもPARADAに於ける、2006年11月 altérité : sensibilia – 手のなかの他處 – 、2012年 菅野まり子個展、2013年 スプリガン展、2014年 altérité : sensibilia iv- 夏至―無底の空に沈んで -でのパフォーマンスを行う。
Masaya KATO| 加藤雅也 | soundcloud | tumblr
- 詩からの影響を受け、これまで即興演奏を中心にダンス・朗読・演劇・映像などとの共作に参加。音源制作と並行しドローイング制作・詩作を行う。
- イベント「図景」主催。
Shinichiro YAMAZAKI|山崎慎一郎 |
- 21歳でギターの演奏を中断するが35歳で楽器を再開。
- 武満徹の「フォリオス」を完成させたいところだが見果てぬ夢だろう。
- バッハの音楽に関 わってゆきたいところだがこいつも見果てぬ夢だろう。
- ギターでは不毛の時代といわれる古典からロマン派のオリジナル曲を、
- レプリカではない当時のオリジナル楽器で演奏したい野望もある。
Yurihito WATANABE | 渡邊ゆりひと | myspace millecomedies.blogspot
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- グロッソラリアによるヴォーカル・インプロヴィゼーションを軸に、そのレゾンナンスから「詩、サウンド・プロセッシング、音楽」を折り重ねたサウンドワークを制作する。サウンドアーティスト&キュレーターDavid Toopに招かれた 2001年 London V&A Museum Radical Fashion でのサウンドインスタレーション。2003年 Neuss Raketenstation Hombroich (Museum Insel Hombroich) FIH Festivalでのソロパフォーマンス、Düsseldorf reinraum e.vとAteliers Höherweg e.V.,での画家・菅野まり子とのワークインプログレス&パフォーマンスによるコラボレーション展。2008年 「映像をめぐる7夜」東京都写真美術館、「デジタルアートフェスティバル東京」パナソニック東京センターでの、映像作家・狩野志歩とのライヴインスタレーション「Hazy」(マルチスクリーン、マルチサウンドチャンネルによる)の上演。また、インプロヴィゼーション・ユニッ ト:Ensemble INAUDIBLEではディレクションとパフォーマンスを行う。ソロアルバムに Mille Comédies ─ Le Double Inaudible 他、David Toop のアルバムや、コンピュレーション・アルバムに参加。 最近作、菅野まり子とのコラボレーション制作による歌留多「かるたえあえりあえ」では詩を担当。